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【令和元年9月定例会・田山議員の個人質問】あいちトリエンナーレ2019について

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質問の様子は以下よりご覧ください。
【名古屋市会 本会議録画中継(外部リンク)】

〇あいちトリエンナーレ2019について

「あいちトリエンナーレ」は、平成22年から3年ごとに開催されている国内最大級の国際芸術祭です。主催は「あいちトリエンナーレ実行委員会」(会長:大村愛知県知事、会長代行:河村名古屋市長)。名古屋市は、運営経費の一部(2億1468万円)を負担しています。減税日本ナゴヤの田山宏之議員は、今回問題となっている「表現の不自由展・その後」について、本会議で質しました。質問の要旨は以下の通りです。(※質問の時点では、「不自由展」は中止されたままで、再開はされていません)

「表現の不自由展・その後」中止にいたる経緯

【田山議員】
開幕10日前の7月22日に愛知県トリエンナーレ推進室が展示内容に「平和の少女像」が含まれる旨を名古屋市観光文化交流局文化振興室に情報提供(この時点では市長に説明はない)。本市は、開幕前日7月31日の内覧会にて展示内容を確認。8月2日、河村市長が視察し、公金を支出して公共施設である愛知県立芸術センターで行う展示会でありながら、一部の作品が行政の立場を超えているとして、展示の中止を含めた適切な対応を大村知事へ申し入れた。
8月3日、大村知事が意思決定機関である実行委員会運営会議に諮らず突然の展示中止を発表。テロ予告や脅迫の電話があり安心して観覧できないと説明したが、展示作品の是非や、公金の使途への言及はなかった。8月1日より7日までで抗議や意見の電話やメールは4800件に達した。
8月9日、有識者による検証委員会を大村知事が県独自に設置。9月末には中間報告がまとめられる予定。

行政によるチェックは、事業マネジメントとして必要

今回の問題について、押さえるべき1点目は、表現活動をテロや脅迫で封じ込めようとする行為は断じて許されないという点。
2点目は、行政が関与する事業である以上、展示などの企画がその事業にふさわしいかどうかのチェックは、事業マネジメントの問題だという点。会長代行である河村市長が実行委員会の構成員として中止を含め適切な対応を会長の大村知事に求めたことは、事業マネジメントの範囲である。

問題の1点目は、行政の中立性、公金の支出としての適切さを欠くとの指摘が各方面から上がっていること。名古屋市や愛知県が実行委員会に参加していることが、作品を是認しているかの印象を与える可能性がある。
設置された「平和の少女像」は、2012年にミニチュア版が東京都美術館で展示され「運営要綱に抵触する」という理由で撤去された。公金を使って行政が一方的な政治的表現を含む可能性がある作品をサポートすることは、行政の中立的立場にふさわしいとは言えない。東京都美術館での展示は民間の主催だが、今回は、県・市が構成員の実行委員会が主催で、さらに公共性が高い。
もう一点の展示作品「昭和天皇と推察される写真が焼かれているように見える作品」(「焼かれるべき絵」)については、国民の多くに嫌悪感を与える可能性もあり、社会通念に照らし許容限度を超えている。愛知県美術館利用者の手引きにある「鑑賞者に著しく不快感を与える作品」に該当し、本来は展示制限を課す必要があったのではないかとも指摘されている。
過去に問題となった展示作品が実行委員会運営会議に諮られることもなく、議論もされずに形式上実行委員会会長の大村知事の判断で展示が許可されていること、展示作品が議論を呼ぶであろうことが予想され、反発を感じる人への配慮や作品の見せ方の工夫について十分検討が尽くされたとは言い難い状況であったことが、1点目の問題である。
2点目の問題は、展示中止の決定も実行委員会運営会議に諮られず実行委員会会長の大村知事の判断でなされていること。テロ予告や脅迫があったことを展示中止の理由としているが、「展示の是非」や「公金の使途としての適切性」を説明しなければならない。
3点目の問題は、愛知県独自の判断において検証委員会が立ち上げられたこと。1か月以上たった現在でも、実行委員会の運営会議が開催されておらず、その経緯等の説明もない。
そして、あいちトリエンナーレとこの問題が一体化してしまうことにより、この芸術祭の存続にもかかわる大問題となってしまったこと自体、大変危惧する。

そこでまず、本市はこれまで「あいちトリエンナーレ実行委員会」へどのように関与してきたのか、「表現の不自由展・その後」についてどのような検討がなされたのか、観光文化交流局長にお尋ねする。

【局長】
あいちトリエンナーレ実行委員会は愛知県知事が会長を務め、愛知県トリエンナーレ推進室が事務局を担っている。本市では、市長が会長代行、観光文化交流局長が委員に就任しており、予算・決算をはじめ、事業計画など重要な事項の議決を行う機関として運営会議が設けられている。
あいちトリエンナーレ2019の開催にあたっては、平成29年度から準備が始まっている。今年度は、7月に前年度の事業報告と決算の議決を行う書面表決があったが、委員の集まる会議は開催されておらず、今回の「表現の不自由展・その後」の展示に至る経緯や中止した経緯など詳しい情報がないことから、運営会議の開催を繰り返し要望している。

公金を使った事業として、ふさわしいのか

【田山議員】
次に河村市長に、展示作品及び検証委員会、開催負担金に対する市長の考え方についてお尋ねする。
この「表現の不自由展・その後」は、市長が考える公金を使った公的機関が行う正しい事業といえるのか。会長代行として展示内容を知った時期が遅すぎるのではないか。
次に、検証委員会が実行委員会に諮られず大村知事の一存で決めたというのは事実か。そのような状況の中で検証委員会の報告を支持するのか。
検証委員会の中間報告まで実行委員会運営会議の開催を待つのか。開催要求に対する回答は届いているのか。
検証委員会からの市長に対する意見聴取への対応状況について条件付きで出席するとのことだが、その後の検証委員会からの返答はあったか。
最後に、名古屋市からの開催負担金(未執行の3千万円)の扱いについて、具体的にどうするのか。

【河村市長】
今回の問題は、これが公共事業だということ。形式でいえば、「名古屋まつり」と同じ実行委員会。例えて言うなら、「名古屋まつり」に突然、3つのもの、慰安婦像(「平和の少女像」)、天皇陛下の肖像画を燃やして足で踏みつける動画(「焼かれるべき絵」)、特攻隊員の死を「間抜けな日本人の死」とする展示(「時代の肖像」)が出てきたら、どうするのか。市長として、「ちょっと待て」と、言わないことが「表現の自由」なのか。そうではない。
公共事業としての適性性をチェックするのが行政や議会の仕事。表現の自由の制限ではなく、公共事業を担うものの任務として、これらの展示は不適切ではないかと、適正な意見を、職務上申し上げた。
さらに、インターネットのニュースで、「時代の肖像」の作者の中垣氏が「表現の不自由展実行委員会から作品の出展依頼が来たが、『慰安婦の像で問題になるだろうから、隠して出す』と言われた」と語っていたことが判明した。「隠して出す」という点が問題。だから、私も全然知らなかった。
こういうことをやって、権力が発表すれば、裏書き効果を与えてしまう。実行委員会ではあるが、名古屋市、愛知県、政府の直営。単に補助金を出して公共施設でやったということではなくて、日本国直営の意見がハイジャックされた。展示の意味内容を行政が応援しているという世論が形づくられることを危惧している。
検証委員会については、何の説明もなかった。全体の実行委員会(運営会議)で検証すべき。
市の補助金の残り3000万円の扱いは、文化庁と共同歩調をとりつつ、市独自に調査をし、市民の皆さんが納得できる結論を出したい。

今回の経緯について調査・検証し、再発防止を

【田山議員】
市長に再度確認したいが、「表現の不自由展・その後」の展示について、実行委員会で議論がなされず、その経緯について認識していなかったということか。

【河村市長】
会議で芸術監督が選ばれたという一連の経緯は報告を受けているが、前日に、東京で行われたレセプションの場で、「慰安婦像」が展示されていることを初めて知って驚いたのが事実。

【田山議員】
河村市長は、実行委員会会長代行であり、本市からは観光文化交流局長が委員に就任している。一連の騒動を受けて、その責任についてどのように考えているのか。またこの問題を、どのくらいの時間をかけてどのように解決していくのか、市民の皆様に向けてわかりやすく答弁を。

【河村市長】
公共事業としてふさわしいのかについて、必要最低限のチェックをすることは、役所や議会の仕事。もっと早く気づくべきだったと記者会見でも謝罪したが、「隠して出す」という状況で、知りえなかった。早く実行委員会(運営会議)を開いてもらい、なぜこうなったか、市民が納得できるよう調査をすることが必要だ。

【田山議員】
あいちトリエンナーレ実行委員会の運営会議を早急に開催し、検証委員会とともに、展示に至るまでの経緯や中止された経緯、展示自体の是非、公金を使った事業としての正当性等、しっかりとすべての事案を検証してもらいたい。今回のような事案の再発防止に努めていただくことを強く要望する。